お姉ちゃんの憂鬱

抱き付く誠の肩をぐっと押し返し、目を見て話せば顔を真っ赤にしたままあわあわしだした誠。



「ご、ごめん!俺嬉しくて!」


「わかってるよ。ほら、さっさと買い物してみんなのとこ行かなきゃ」



再び手をつなぎ直して歩き出すも、なんともトロトロと進む誠。



「……それ、いかなきゃダメ?」


「ダメ。みんな待ってんだから」


「せっかくかなちゃんに言えたのに…」


「…別に、これからいくらでも二人で遊べるんだから、たまにはイイでしょ?」


「…わかった。そのかわり帰ったらくっつくからね」


「あ、遥香にも報告しなきゃね」


「…忘れてた。あのシスコン大丈夫かな」


「ん?なんて?」


「なんでもなーい。ね、もっとゆっくり歩いて行こうよ」



ニコニコあたしの好きな笑顔でさらに歩みを遅くしようとする誠を無理やり引っ張り歩く。


あんまり時間をかけると、今度は今ごろカラオケに向かっているだろう奴らがうるさくなりそうだ。

さっさと買うものを買って向かわなければ。




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