お姉ちゃんの憂鬱


その後、誠の目当てのiPhoneのケースを手に入れ、みんなが待つカラオケへと向かう。


部屋に入る前につないでいた手を離そうとするも誠は意地でも離してくれず、仕方なくそのまま入ると中にいた御一行に思いっきり注目されてしまった。

気づかなかったのはマイクを手にノリノリな直くんだけだ。



「…お待たせしました」


「かーちゃん、遅いぞ。ペットといちゃついてばっかいるなよ」


「まどか先輩!もうペットじゃないですよ!」


「は?どういうこと?」


「こういうことです!」



そう言ってつないでいた手を離してまたもや横から抱き付くミカン頭はどうも学習能力がないようで困る。


「…どういうこと?」

「いつもと変わりなしじゃねーか」


メグのごもっともな言葉に誠が噛みつく。

でもまぁ言われてみればいつも通りだよなぁ。



「うるせーヤンキー!俺とかなちゃんは付き合うことになったんだよ!お前が入る隙間なんてないんだからな!」

「はぁ?」

「え、かなたちって付き合ってたんじゃないの?」



さぁちゃんが驚きの声を上げる。

それを聞いて今度はあたしが驚く番だ。



「付き合ってなかったよ?」

「あれで?!」



そんな馬鹿なとでも言いたげなさぁちゃんに、頭を抱えてしまう。

あれってなんだ、あれって。

今までそんな風に見られていたというのかあたしたちは。

なにそれものすごく恥ずかしいんだけど。




< 78 / 335 >

この作品をシェア

pagetop