お姉ちゃんの憂鬱

「あ、お姉ちゃん、ようやく到着ですか。遅いですよ」


「ごめんよ直くん。あたしのことは気にせず歌っていておくれ。歌うまいね」


「お姉ちゃんも歌入れてください。しかたないからペットくんも入れていいですよ」



どんな時でもゴーイングマイウェイな直くんにちょっと救われたよ。

恥ずかしいのは置いといて、とりあえず今はこの楽しいみんなとカラオケを楽しもう。



次の曲が流れだす。

某アイドルグループの流行のダンスが印象的なあの曲だ。



「メグくん、マイクをどうぞ」


「オレじゃねぇよ!本村だろこれ入れたの」


「では村さん歌ってください。僕と山さんが踊りましょう」


「なんでだよ!あたし踊れない!」


「大丈夫です。僕の動きをマネっこしてください」


「全然大丈夫じゃない!」



こんなアイドルグループの曲をメグが歌うわけないし、まどかが踊れるわけないじゃないかと思っても、直くんに引っ張られ立ち上がるまどかは勢いのままマネっこで踊っている。

意外にもメグも笑って口ずさんでいる。



「お姉ちゃんも踊りましょう!」


「ぶはっ 仕方ないなあ!直くんちゃんと教えてよね!」


「任せてください」



無駄にきりっとした直くんは頼りがいがあるようなないような。


「誠、来てよかったでしょ?」



ニヤリと笑えば誠も困ったように笑った。

こんなに楽しいイイ奴らがあたしの友だちなんだぞ。

誠も楽しまないともったいないよ。




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