お姉ちゃんの憂鬱
「遥香、俺、かなちゃんと付き合うことになったから。これからは邪魔してくれるなよ」
手を繋いで家に帰ると、そのままうちに上がり込んできた誠。
小さいときからの付き合いだから誠が家に来てもなんにも疑問を抱かない三船家です。
「…とりあえず誠は帰れ。そして三船家の敷居を二度とまたぐな」
弟の遥香に報告すると、思っていた以上の暴言が返ってきた。
「いい加減シスコンは卒業してほしいなー。弟くん」
「弟っていうな。姉ちゃんに手ぇだすな」
「残念ながらもうかなちゃんは俺と付き合うことが確定しましたー」
「もうお前ホント死ね!」
「こーら、遥香、死ねとか言わないの。誠もケンカ売らない」
「だって姉ちゃん!こいつ今まで散々遊んでたんだよ!姉ちゃんのこと好きとか言っていろんな子と!」
誠を指さし大きな声でそう言い切った遥香。
それはもう解決したから大丈夫なのです。
「こらハルくん。誠くんにそんなこと言わないの。いいじゃない、せっかくこんなお姉ちゃんのこともらってくれるって言ってくれてるんだから。ハルのお兄ちゃんになるってことよ?」
あまりの大声と内容についに三船家母、まさえが登場した。
あたしの世話焼き癖はこの母からの遺伝子だと思っているくらい、世話焼きで人に構うのが大好きなのがうちの母、まさえだ。
「お母さんは黙っててよ」
「黙ってられないのがお母さんという生き物です!」
「まさえさん、かなちゃんは俺がもらいます」
「こんな娘ですがよろしくね、誠くん」
「こら誠、勝手に話を進めるんじゃない。」
「え、かなちゃんもらわれてくれないの?!」
「そ、それはだなぁ…」
「なんでもいいけど、夜ごはん食べない?お父さんお腹空いたんだけど」