お姉ちゃんの憂鬱

具合が悪くなったらすぐ言うことといくら言われても、自ら気持ち悪くて吐きそうですと申告するのは結構勇気がいる。


我慢すればなんとかなると思っちゃうし、周りが盛り上がっていれば余計に言い出せないだろう。

空気を壊すことになりかねないしね。




「明日からの移動は、前の方に座る?」


「酔い止め飲めば平気だし、最悪寝ればなんとかなるから、みんなと一緒に座る…気づいてくれてありがと」



少しぶっきらぼうにそう言ったさぁちゃんは、最初のぶりっ子の印象とはだいぶ変わった。

とてもいい変化だとあたしは勝手に思っている。


こっちの方がずっと接しやすいし、一緒にいて楽しい。



「いーえ。さて、時間までなにする?一時間くらいあるけど…」


「あ、あのさ、あたしかなに聞きたいことがあったんだよね!」



そういえば、班でつるむようになってからみんなでワイワイ騒ぐということはあったが、こうやって特定の誰かと一対一で話すことはなかったかもしれない。



「うん、なに?夜ご飯まで少しお話ししようか」




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