お姉ちゃんの憂鬱

「かなにも感謝してるよ。というか、一番に感謝してる。実際、かながいなきゃこんなに仲良くなれてないだろうし」



そっぽ向いてそう語るさぁちゃんは照れているんだろうか。

可愛い子がそんな可愛いことしたらただただ可愛いだけだ。


そしてあたしは可愛いものが大好きである。




「うん。あたしもあの時二人に割って入ってよかったと思ってるよ」



世話焼き魂万歳だ。

あの時割って入ったおかげで今こうして楽しく修学旅行に来れているのだ。


この班になってから、広く浅くだった交友関係がとても濃いものになった。



「今までの友だちは、今のあたしのことあんまりよく思ってないみたいだけど、それでもいいんだ。楽しいから」


「その子たちだって、ちゃんとこうやって今のさぁちゃんと話せばわかってくれるよ。今はちょっと慣れなくて距離感がわかんないだけ。だから、これからもちゃんと話してみなよ」



急に態度を変えた友達に、さぁちゃん軍団のみなさんは戸惑っているだけだ。

教室でみていても、話しかけたいけどどうしようって感じが見られる。


きっとこれから歩み寄っていけば以前よりももっといい関係を築けるだろう。




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