Love their
彼はチラと舌を出してレイをソファに促した。


レイはそんな彼の意地悪そうな可愛い笑顔を見て思わずクスッと笑った。


ソファに腰掛けて改めて部屋全体をぐるりと目で追った。


20畳程の広いリビングにはソファとガラスのテーブル、とにかく大きいテレビを填め込んだサイドボードが設置されていた。


背丈を越す位の壁一面のガラス窓からは控え目なネオンが一段と煌めいて見えていた。


敷き詰められた真っ白なカーペットの上に黒い家具。


夜を少しだけ隠すように薄い白いカーテン。


全体を白と黒で統一されたこの部屋はだだっ広いという表現でしか言いようがない程に整然としていた。


レイは自分の狭く物で溢れた部屋を思い比べて思わず顔を赤らめた。


「無駄に広いって思った?」


心の中を見透かされたように彼がレイに問いかけた。

「ううん、…いや、でも広いね。そして綺麗」


「こうして部屋で飲んだりすることはあまりなくてね」

「何だか勿体無いね」

「病院から帰れない日も多いしね。帰ったとしても大抵夜中になるから寝るだけとか多いかな…」


彼はそう言うとおもむろに煙草に火を灯した。


「忙しいから大変だよね」

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