Love their
明らかに嘘だと思われているな。


レイは運転手の曖昧な相槌に感じた。



「今日はまだ静かだけど、救急当番の日はもっとバタバタしててね…」


「……」


「中で待ちきれずにこんなベンチまでもが患者の待ち用の居場所になるんだよ」


運転手はそう言うとレイの隣人一人分空けて腰かけた。



客待ちのタクシーの運転手との暇潰しな会話。


流れでそうなってしまったけど、私は一体何しているんだろう。


運転手が隣に座ったのもありお互い気を遣ってか、次の客が来るまでの間離れるのもどうかと思った。



「運転手さんはずっとここで?」


レイはとりあえず何か話そうと問いかけた。


「ここで待ちしてると色々な人に出会えて楽しいよ」

「いろんな人…?」


「医者や看護師さんとかいった偉い人から…そうだな、路上生活するおじさんとかな…」


運転手は自分のタクシーを見ながらフッと笑った。


「この前もな…」


「面白い人がいてな〜…」

「面白い人?」


レイは運転手が思わず吹き出しそうになったのを見てその先に少し興味を持ち尋ねた。


「そうだな…お姉さんぐらいの歳の子かなぁ…」

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