Love their
「…分かった」



彼の言葉を聞いたか聞かないか、ドアロックを解除する音が妙にはっきりと耳に届いた。




その音が、何だか終わりを告げる告知のように思えてしまって、がっくりと肩を落としてしまった。



互いに無言で静まり返る車内に居心地の悪さを覚える。



無情にも、カーステレオから流れる曲のメロディに乗せて聞こえてくる歌詞。



〜♪グッバイ…ラブ…グッバイ マイラブ…〜♪




思わずフッと笑いがため息と混じる。




まさにその通りで、出来すぎたタイミングにレイは肩をすくめた。




「ありがと…ここで降りるね」



レイは一向に終わらない曲と沈黙に嫌気が差して切り出した。



「気をつけて」



「うん…」



交される会話の途中でドアノブに手をかけ、通り過ぎる車を1台見過ごしてからドアを開けた。



生ぬるい空気がレイを包み立ち上がると同時にめまいがした。



強く目を閉じてから瞬きしてクラクラする視界を逃す。




そして何も言わず、彼を見ずにドアを閉めた。




家は進行方向をそのまま真っ直ぐ行った先にあったが


帰る気にもなれず、後ろ姿を見て欲しくない気持ちもあって来た道を歩いて戻る。

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