Love their
「正直に自分の気持ちを言ったの……」



「…!!…」





三浦さんを追いかける私。



そんな私を追いかけるサトル。



サトルを追う里子。




何も気がつかなかった…。



2人の特異な空気が分からなかった。




当然だ。
自分のことだけでいっぱいいっぱいで。



周りのことなんて見てるようで見てなかったんだ。



「あの日、あんたは帰ったんじゃない…彼のとこに行ったんでしょ…」



里子の突っ込みに否定しなかった。


「うん…」



「追いかけて行こうとしてたわ。…だけど、私が止めたの…」


「酔ったフリして、帰り際にサトル君の家で飲もうって強引に行ったわ…」


「………」



「そこで、気持ちを打ち明けたの…やっぱり驚いて無かったわ…分かってたって…」



昨日サトルの家を飛び出した時の、サトルの困ったような顔が浮かぶ。



サトルはそんな事情まで私には言わなかった。



勿論、聞く気なんてなかったけど…。



自分の口から言えなかったんだろうか…。




私と里子のことを考えて…。



事実が浮き彫りになってもサトルは何も口にしなかった。



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