Love their
「……?」



見上げるレイの視線の先に冷めた表情の里子が居た。



「安心しなさいよ…何もなかったわ…サトル君、それは出来ないって…」



はぁ、と大きなため息をついて里子が言った。




「………」




「…目の前に100万円落ちて来たみたいに嬉しいし飛びつきたいけど、やっぱりそれは出来ないって…ってか天然よね。笑っちゃうわよ…」




サトルがそんなことを…。



「割り切って性欲だけぶつけてくれた方がよっぽど良かったわよっっ…バカみたいじゃん…サトル君なりの慰めだったろうけど。逆に泣きそうになったわ。恥ずかしくて…」




「そうだったの…」





サトルの気持ちを知ってて彼に恋をした。




だけど…完璧な大人の付き合いを求めていた彼。




私はそんなつもりじゃなかった。





そして純粋なサトルに恋をした里子。




純粋の壁を割ることが出来ずに拒否された里子。






何でこんなになっちゃったんだろう。





うまくいかないもんだね…。





人間って皮肉だ。



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