Love their
「実はね…レイのこと見たのは初めてじゃないんだ」


彼がワインボトルの水滴を拭きながら言った。



「えぇ…?いつ?前は言ってなかったじゃん」



「レイ、屋上初めてじゃなかっただろ?」



「え?あ…うん」



それはサトルのお見舞いに来た時に行った。



景色を眺めながらボーッと考え事をしてたんだ。




「綺麗な子が一人で景色見ているなって端で見てた」


「え!そうなの?全然気がつかなかった…」



「そうだよな…景色だけをただ見てた」



「うん…」




色々な事が頭をよぎり昼間の景色でさえもあまり記憶にないほどだった。




「声かけようかなって思ったんだ」



「え、嘘。本当に?」



「あぁ…子連れのお父さんが来るまではね」



「親子を見つめるレイの目があまりにも遠くて、声掛けれなかったんだ…」





そうだった。



辛い過去を思い出して泣きたくなったのを覚えている。




「というのも理由の一つでね…」



「理由の一つ?」



レイは彼の失笑に思わず聞きなおした。




「声掛けれる訳ないだろ?」



「?」


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