Love their
あれから、茶封筒に入ったパパの書いた手紙をなかなか読めずにいた。




目の前に突きつけられた彼との現実を消化するだけでレイは精一杯だった。




血を分けた兄妹…。




正直、ピンとこないまま暑い夏は終わった。





ただ、一人。毎日を生きてくだけで。




それだけで精一杯だった。





サトルと再会したのは夏の終わり。





私から電話をした。






徐々に気持ちの整理がついていく中で、ちゃんとサトルにさよならを言おうと思って電話した。




別れを切り出した時に、



『もう一度、一から友達からやっていかないか?』



サトルの言葉に張り詰めていた線がプツっと切れて泣いた。





もう一度、一から。




もう一度、一から全部やり直して生きたいって素直に思った。



それはサトルとの関係じゃなくて、自分自身を…。




寄りすがる所を求めたい気持ちを多少抑えることも出来た。




サトルとは、今は恋人とは言えない。




身体の関係もないし、こうして前のようにお決まりの毎日を過ごすだけ。




でも、この先も分かんない。




それでいいと思う。


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