Love their
てくのぼう



今の私にぴったりだ。



私はどうしたのか…?



拾い終えてまた一礼した医師は言った。



「ありがとうございます」

とても丁寧でゆっくりした口調。



私の想像していた声と一緒だ…。


レイは、ただ医師を見つめていた。



「あの…大丈夫ですか?」

硬直したままつっ立っているレイを怪訝に感じたようだ。


「あ、……はい…」


とても声が出せない。



一体、私はどうしたんだろう。



この人から目が離せない。


胸の奥が熱い。



熱はまるでチューブでゆっくり絞りだすようにじわじわと広がっていくのが分かった。



この人に惹かれている。



すぐに理解出来た。



だけど、この人に惹かれる自分はどこか懐かしい感じがした。



分からないけど、懐かしい。




ヒトメボレ。




どこに惚れた?



いや、それも分からない。




私はこの人に一目惚れしたんだ。




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