Love their
サトルの診察を終え、近くの店でランチをした。



私は、さっきの出来事を言えずにいた。


これで2つ……。


サトルに隠し事をしている。


今まで隠し事をしたことはなかった。


そして嫌悪感。


サトルとピアスの女に嫉妬している自分がありながら

彼が気になる自分。


器用にも割りきれる自分は一体何者なんだ。


食べきれずに残ったペンネをフォークでつつきながら

自分に問いかけていた。


ランチでの話題は、


もちろん医師である彼と私。


医師と向き合った僅かな時間での私とは裏腹に、


サトルからの質問をいとも簡単に答える自分を、



フォークで突き刺したい気分だった。



『私も以前にお腹が痛くて診てもらった』


『サトルと同じように盲腸かどうか診察してもらったのが彼だった』


『結局、盲腸ではなかった』



全くの作り話。



「あれは痛いぞ〜良かったじゃん違ってて」


私の言い分をまったく疑うこともなく、


でも、もう大丈夫だよ、とサトルはレイの食べ残したペンネをほうばった。
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