Love their
雨が少しでもおさまるようにギリギリまで会社に居たくなる。


出来ることなら明日にでも変えて欲しかった。



でも行かなきゃね…とノソッと立ち上がり机の上に忘れかけた手帳をめくり、今日のこの後の予定を確認した。



この後は2件の訪問。


うまくいけば直帰出来るかも。



淡い期待を持ちながら、目についた、
6月上旬あたりに貼ったままの彼の携帯番号。




レイはあの晩、里子の家に泊まり朝になってから帰宅した。



土曜日は2日酔い、日曜日は何となく気分的に、家に篭りっきりだった。


躊躇っていた訳ではないけれど、


一晩過ぎてからの気持ちは妙に冷めていて。


土日は電話してはいけないような気もした。



酔いが醒めて、ひどく酒焼けした声も嫌だった。



明日、明日。


電話は明日にしよう。


そう思ったけれど、今日になってみると気が進まない感じがしていた。



もう、別にいいかな…


サトルのことを思うと、こうしていつも考えている自分が酷く恥ずかしかった。


私にはサトルがいるのに…。


何を今更。



ずっとそんなことの繰り返しのまま、また1週間が始まった。


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