Love their
居ても居られず、レイは一歩を踏み出したその時だった。



「ずっと待ってました」



彼はそう言って立ち去ろうとしたレイの腕を掴んだ。



腕に当たる彼の体温と、指先の感触。



初めて触れるその彼の手をほどけなかった。



熱い温もりが腕を通して痺れるように全身に伝わる。


甦る記憶と一緒に甦る思い。



彼に触れてみたかった。



初めて会った時から、私は彼に触れたかった。



腕を掴まれたままゆっくりと顔を上げた。



こんなに近くにある彼の顔。


レイはじっと見つめた。



彼をはっきり見るのはこれが初めてだった。




見つめながら、さっきまでの自問自答をぼんやり思った。



今日、ここに来なければ。


始まることのなかった私たち。



やっぱり私は歪んでる。



でも、もう、



それでもいいと思った。




「私……」


「僕は……」



じっと見つめるレイに、頷く彼。


同時にお互いが言った。






「貴方に会いたかった」





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