Love their
店の前で過ぎ行く人達の波をかき分けるように1つの姿を見つけた。


小走りでだんだんとはっきり目に映る彼の姿。


その姿をしっかりと目に焼きつけるように記憶する。

今、こうして向かって来る彼を私は瞬きもせず待っている。


彼の頭の先から足の先まで愛しい。


レイは溢れ出るその思いを自分の中で消化しきれず、思わず足がその先へ向かう。


息を切らして現れた彼がどうしても愛しくて。


愛しくて。


こんな思いをしたことがなかった。


レイは一歩先に辿り着いた彼の手をごく自然に引き寄せた。



「待たせてしまって…」


彼の第一声を遮るように引き寄せた手を自分の頬に押し当てた。


温かい掌の温もりがレイの身体に電撃となり伝う。



私達は身動きも出来ずに、


ただ確かめ合った。



二人の脇をすれ違う人が怪訝に見ながら通り過ぎた。


バリアで覆われたように噂する声もぼんやりと耳に霞めるだけだった。



初めて貴方を知った時から、こうして私の頬に触れて欲しかった。


彼のもう片方の指先がレイの肩から首筋に向かってゆっくりと撫でるように伝ってゆく。
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