Love their
さりげなく繋いだ手と反対側の手でドアを押さえレイを促す。


レイが乗り込むのを待ってから、ドアを押さえていた手を離しながら彼が乗り込んだ。


彼は再びゆっくりと閉まるドアから手を離してすかさずボタンを押した。


行く先は最上階。



閉まりかけたドアの細い隙間の先にある、さっきまで立って居たフロアを見つめながら、


レイは繋いだ手から伝わる彼の温もりをもう一度指先で感じた。



別世界に飛び込むような不思議と切ない感覚を、



彼の温もりで出来るだけ中和されるように――。



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