Love it.
そんなハプニングをほんのり嬉しく思っていた矢先、あたしの気分をブルーにさせる出来事が起こった。
お昼休みに飲み物を買おうと休憩コーナーへ向かった時、自販機の前で当麻さんが誰かと話しているのが見えた。
あ……深町さんだ。
早瀬さんがいた時から、三人で話している場面はよく見ていたから、仲が良いことは知っている。けれど。
「早瀬のとこに、ですか?」
当麻さんの口から出た名前に反応して、あたしは足を止めた。
別に隠れる必要なんてないのに、休憩コーナーの角に身を潜めるようにして耳を澄ませる。
「そう。久々に顔見たいから、一緒に行ってくれない? 今週の土日あたり」
「あぁ……いいですよ、行きましょうか。俺も会いたいし」
──チクン、と胸に小さな痛みが走る。
早瀬さんはきっと彼氏さんと仲良く暮らしているはずで、当麻さんとどうこうなるわけではないのに。
それでも、あの優しい表情を浮かべて『俺も会いたい』と言っている彼を見ると胸が苦しい。
やっぱり、当麻さんはまだ早瀬さんのことを想っているのかな……?
その心に、あたしが入る隙間はないんだろうか。
早瀬さんとの思い出話をしながら計画を立てる、楽しげな二人の声を耳に入れながら、結局何も買わずに、あたしは財布を握りしめて踵を返した。
お昼休みに飲み物を買おうと休憩コーナーへ向かった時、自販機の前で当麻さんが誰かと話しているのが見えた。
あ……深町さんだ。
早瀬さんがいた時から、三人で話している場面はよく見ていたから、仲が良いことは知っている。けれど。
「早瀬のとこに、ですか?」
当麻さんの口から出た名前に反応して、あたしは足を止めた。
別に隠れる必要なんてないのに、休憩コーナーの角に身を潜めるようにして耳を澄ませる。
「そう。久々に顔見たいから、一緒に行ってくれない? 今週の土日あたり」
「あぁ……いいですよ、行きましょうか。俺も会いたいし」
──チクン、と胸に小さな痛みが走る。
早瀬さんはきっと彼氏さんと仲良く暮らしているはずで、当麻さんとどうこうなるわけではないのに。
それでも、あの優しい表情を浮かべて『俺も会いたい』と言っている彼を見ると胸が苦しい。
やっぱり、当麻さんはまだ早瀬さんのことを想っているのかな……?
その心に、あたしが入る隙間はないんだろうか。
早瀬さんとの思い出話をしながら計画を立てる、楽しげな二人の声を耳に入れながら、結局何も買わずに、あたしは財布を握りしめて踵を返した。