Love it.
翌週の月曜日、あたしは浮かない気分で仕事をしていた。
この土日のどちらかに、当麻さんは早瀬さんのもとへ会いに行ったはず。
二人が会っていたと考えるだけで、あたしの心はどんよりした曇り空になってしまう。
当麻さんは今日は外回りで忙しく、会社へ戻るのは定時後になりそうだと言っていた。
オフィスに彼の姿が見えないだけで寂しくなる。
今日ばかりは自分のために髪の毛からフルーツの香りを漂わせているけれど、やっぱり気分は上がらないや。
ため息を何度もついた一日がやっと終わりに近付き、定時を過ぎてもやっぱり当麻さんは戻ってこなかった。
徐々に社員が退社し、賑やかだったオフィスもがらんと静けさを増していく。
今日は会議が長引いているらしく、部長方もまだ戻らない。
あたしは自分の仕事は終わっているし、別に帰ってもいいのだけど……
「……待ってようかな」
なんとなく、当麻さんより先に帰るのは気が引けて、タイムカードを押した後もあたしはデスクに座ってしばらくぼーっとしていた。
彼がもう恋を諦めていたとしても、会ったらまた想いが募ってしまうんじゃないかな……とか、考えてしまうのはそんなことばかり。
「あーもうやだぁ……」
ネガティブな自分が嫌になって、あたしはデスクに突っ伏した。