Love it.

翌週の月曜日、あたしは浮かない気分で仕事をしていた。

この土日のどちらかに、当麻さんは早瀬さんのもとへ会いに行ったはず。

二人が会っていたと考えるだけで、あたしの心はどんよりした曇り空になってしまう。


当麻さんは今日は外回りで忙しく、会社へ戻るのは定時後になりそうだと言っていた。
オフィスに彼の姿が見えないだけで寂しくなる。

今日ばかりは自分のために髪の毛からフルーツの香りを漂わせているけれど、やっぱり気分は上がらないや。



ため息を何度もついた一日がやっと終わりに近付き、定時を過ぎてもやっぱり当麻さんは戻ってこなかった。

徐々に社員が退社し、賑やかだったオフィスもがらんと静けさを増していく。
今日は会議が長引いているらしく、部長方もまだ戻らない。

あたしは自分の仕事は終わっているし、別に帰ってもいいのだけど……



「……待ってようかな」



なんとなく、当麻さんより先に帰るのは気が引けて、タイムカードを押した後もあたしはデスクに座ってしばらくぼーっとしていた。

彼がもう恋を諦めていたとしても、会ったらまた想いが募ってしまうんじゃないかな……とか、考えてしまうのはそんなことばかり。



「あーもうやだぁ……」



ネガティブな自分が嫌になって、あたしはデスクに突っ伏した。

< 12 / 19 >

この作品をシェア

pagetop