Love it.
「あの、当麻さん、今……」



「頭撫でてました?」とストレートには、なんだか恥ずかしくて言えずに口をつぐむ。

どうしよう、と黙り込んでいると、同じように沈黙する当麻さんが、若干頬を赤らめてあたしから目を逸らした。



「……何かあったのか?」

「え?」



突然そう問い掛けられて顔を上げると、彼はちらりとあたしに視線を戻して無愛想なまま言う。



「朝会った時、元気ないような気がしたから」

「あ……わかりました?」

「ウサギを毎日観察するのが日課になってたからな」



──ドキンと胸が鳴る。

ウサギって、あたし?

うそ……あたしなんかの様子を気にかけてくれていたの?


片想いを始めて二年間、抑えていた気持ちが一気に溢れ出し、もう黙っていられなくなった。



「……あたしの好きな人が、その人の好きな人に会いに行ったから、気になって仕方なくて……」

「なんかややこしいな。誰のこと?」



震える声を必死に落ち着かせながら、彼の瞳をまっすぐ見つめ、思い切って口を開いた。



「当麻さんが、早瀬さんに会いに行ったからです」


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