Love it.
沈黙すること三秒。
この時間がこんなに長く感じたことってない。


一瞬ぽかんとした当麻さんは、この三秒であたしの言葉の意味を理解したらしく、みるみる頬を赤く染める。

そして片手で口元を覆うと、再びあたしから目を逸らしてぼそっと呟いた。



「何で知ってんだ、俺が早瀬に会いに行ったって……」

「この間、休憩コーナーで深町さんと話してるのを聞いちゃいました」

「あー、あの時ね……」



うなだれる当麻さんの表情はよく見えなくて、あたしの間接的な告白にどんな答えが返ってくるのかわからない。

その恐怖と緊張で、またびくびくと縮こまっていると、頭上から呆れたような声が投げ掛けられた。



「でもお前、いつの話してんだよ」

「へ?」

「あいつのことはとっくに諦めついてるし、もう友達以上には想ってないんだけど」



いつの話って……そんなに前から、もう好きって気持ちはなかったってこと?

心底“くだらない”とでも言いたそうな彼の顔を見ると、今の言葉は嘘ではなさそうだ。



「そ、そうだったんですか?」

「そう」

「会って、また好きになっちゃったとかは……」

「ないない。あんな薄情なヤツ」



薄情なヤツって。

完全否定する当麻さんに、あたしは一気に肩の力が抜ける。

な、なんだ……あたしの取り越し苦労だったのか……。

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