Love it.
「な、何で……っ」



さすがに黙っていられずバッと顔を上げると、なんだか熱っぽい瞳であたしを見つめている当麻さんにドキリとする。

彼は、さっきの言葉とは裏腹に髪を撫でる手を止めずに、耳元に唇を寄せて囁く。



「……これ以上のこと、したくなるから」



──腰が砕けるってこういうこと?

心臓はバクバクと激しく踊って、身体に力が入らない。
当麻さんの腕が支えてくれていなかったらへたり込んでいるだろう。

湯気が出そうなくらい熱を持つ顔を彼の胸に埋めていると、クスッと笑う声が聞こえる。



「会社だから、今はこれだけで我慢するけどな」



髪にキスが落とされるのを感じて、全身が火照り出す。

そんなふうにされたら、あたしだってもっと触れてほしくなっちゃうよ。



「いっぱい、撫でてください。……ウサギは撫で回されるのが好きなので」



って、あたし何言ってんのー!
今さら恥ずかしがってももう遅いけど!

ぎゅっと彼のスーツを握りしめていると、はー……と大きく息を吐き出され、さらに後悔する。

……でも、それは一瞬で。

< 18 / 19 >

この作品をシェア

pagetop