Love it.
えっ!? 当麻さん、何か怒ってる!?

「今忙しいんだよ、見てわからねー?」とか言われちゃう!?


一瞬パニックになったあたしは、落とした書類を拾いもせず固まったまま彼を見つめていた。すると。



「あ、ごめん」



振り返った当麻さんは無表情のままそう言い、デスクの上の分厚いバインダーを引き出しにしまう。

な、なんだ……今の音は当麻さんがこのバインダーを落としただけだったのか……!

びくびくと縮こまったままのあたしをもう一度見やった彼は、少し笑みを浮かべて不思議そうに首をかしげる。



「どうしたの? 折井さん」

「あっ……て、てっきり、当麻さんが怒ったのかと思って……」



口元に手をあててそう言うと、彼はぶはっと吹き出した。

顔をくしゃっとさせて笑う姿を初めて見たあたしは、さらにぽかんとしてしまう。



「面白いねー折井さんって。なんかウサギみてぇ」

「へ……ウ、サギ?」

「なんかいつもオドオドしてるでしょ。今の、音に敏感なとことかも、昔学校で飼ってたウサギを思い出すわ」



えぇ……それでウサギ!?

ウサギって言われると可愛い気もするけど、決して褒められてはないよね!?

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