Love it.
「当麻さん、どこか具合でも悪いんですか?」

「え、何で?」

「なんか元気がないような気がするから……」



すると、資料を受け取った彼はわずかに苦笑を漏らした。



「あーちょっとね。つーか、よく気付いたな」

「それはまぁ……」



“よく見てますから”と口走りそうになり、慌てて口をつぐむ。

それより何か気の利いたことを言わなきゃ、と急いで考えを巡らせた。



「折井さん?」

「あ、えぇとですね! あたしは当麻さんのサポート役であるので、あたしに出来ることがあれば何なりと言ってくださいね!」



……ってあたし、何よくわかんないこと言ってんの?

ほら、当麻さんキョトンとしてるし! 可愛いし!

気恥ずかしさから目線を泳がせてみたり、髪を撫でたりしていると、彼がぷっと吹き出す。



「ありがとな。なぜかキョドってる折井さん見てると元気になれそうだわ」

「そ、そうですかね? えへへ」



おかしそうに笑う彼だけれど、彼にとってのあたしの存在意義が生まれたようで、ちょっぴり嬉しかった。


けれど、その数日後。

早瀬さんと、彼女の先輩である女性社員の深町さんが、給湯室で話しているのを偶然聞いてしまった。

早瀬さんにも好きな人がいて、その相手は当麻さんではないことを。

最近当麻さんの元気がないのはそのせいなのかも……。

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