堕ちてくる
四角い空
剛田は、中島と言う生徒が死んだ現場に来た。この辺りは、最近、都心へのアクセスの良さからベッドタウンとなってきていた。新しいマンションが、次々に建設されていく。中島の死んだ場所も、周りを大きなマンションで囲まれていた。
剛田は、マンションをひとつ、ひとつ見上げた。
「あそこから、パチンコ玉とか落としても人は死なねえな。」
マンションの高さは、せいぜい十階建てだ。確かにそこから、人を貫通されるほどの速度を生み出せるとは、とてもではないが考え難かった。それと剛田には、もうひとつの難題が残っていた。隕石だ。写真を取り出し、現場にあいた穴を見つめた。
「こんな小さいものが、こんな穴を作れるのか?」
そこには、穴の大きさこそ小さいが、立派なクレーターのようなものが出来ていた。
「恐竜は隕石が落ちてきて絶滅したって聞いた事があるけど、確かにそれはあってるかもな。こんな小さなものでも、こんな風にしちまうんだからな。」
変な感心をしながら、剛田は現場をあとにした。
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