堕ちてくる
創世
葉月を独り占めするには、あの男は邪魔だ。彼は考えていた。あの男を滅するには、どうすればいいのか。
確かに、彼が願った通りに、工藤は隕石に殺された。しかし、それは本当に彼の力だったのだろうか。
坂井も、中島も隕石に殺された。ただそれは、彼が宇宙に語った事ではない。確かに死ねばいい、そう思っていたが、隕石が落ちてきた事と願いは、必ずしも関係があるとは言えないのだ。
確実に剛田を、彼はもう一度試す事にした。
―――山下でも試すか・・・。
薄ら笑いを浮かべ、そして、宇宙に願った。
―――山下を、山下を殺せ。形が無くなるくらいに、強大な力を降りおろせ。

どれくらい願っただろうか。彼の家まで、凄まじい衝撃が襲った。窓を開け、確認してみる。外には工藤の時とは比較にならない、真っ赤な炎がうまれていた。
彼の街は、今、そこら中にテレビや新聞の記者達が詰めかけていた。この事がニュースになるのに、そんなに時間はかからなかった。
テレビに映し出されるその景色。彼にとっては、この世のどんな景色よりも美しく、誇らしく見えた。
―――成功だ。これで、あの男を。彼女に近づく全てのものを、排除する事が出来る。そして、僕が彼女を手に入れる。彼女と僕だけの世界を創世るんだ。
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