堕ちてくる
「な、なんなんだ。こいつ。ムカつく。あり得ない。なんで、こんなに彼女の事を抱きしめているんだ。彼女は、僕のもの。違うのか?」
興奮しすぎて、息が荒れている。黒目は、違う景色を見ているせいなのか、小刻みに揺れている。その姿は、異邦のものに見えた。
「憎い。憎い。この男が憎い。」
究極とも言える怒り、憎しみだ。究極であるが故に、宇宙はすぐに応えた。真っ黒な空に、今までにない極上の薔薇が姿を現した。彼の想像を超える出現に、彼は見てはいけないものを見る事になってしまった。
葉月は、音に敏感になっていた。特定の音、隕石の落ちてくる音に。
―――これって。
音に反応し、空を見上げた。そこには、真っ赤に咲いた隕石があった。
「拳ちゃん、危ない。」
渾身の力を込めて剛田を押した。剛田はしりもちをつき、葉月の事を見ていた。彼の景色も同様だった。あまりに一瞬の事で、立ち上がる事は出来なかった。それでも、見えている葉月の姿は、まるでスローモーションのように、ゆっくりと、ゆっくりと、本当にゆっくりと流れていった。
「さようなら。」
彼女の口は、そう言っているように見えた。
剛田の目の前には、葉月の代わりに隕石が鎮座していた。真っ赤に燃えた隕石が、葉月の全てを押し潰した。
剛田の叫びは、いつまでも聞こえていた。
興奮しすぎて、息が荒れている。黒目は、違う景色を見ているせいなのか、小刻みに揺れている。その姿は、異邦のものに見えた。
「憎い。憎い。この男が憎い。」
究極とも言える怒り、憎しみだ。究極であるが故に、宇宙はすぐに応えた。真っ黒な空に、今までにない極上の薔薇が姿を現した。彼の想像を超える出現に、彼は見てはいけないものを見る事になってしまった。
葉月は、音に敏感になっていた。特定の音、隕石の落ちてくる音に。
―――これって。
音に反応し、空を見上げた。そこには、真っ赤に咲いた隕石があった。
「拳ちゃん、危ない。」
渾身の力を込めて剛田を押した。剛田はしりもちをつき、葉月の事を見ていた。彼の景色も同様だった。あまりに一瞬の事で、立ち上がる事は出来なかった。それでも、見えている葉月の姿は、まるでスローモーションのように、ゆっくりと、ゆっくりと、本当にゆっくりと流れていった。
「さようなら。」
彼女の口は、そう言っているように見えた。
剛田の目の前には、葉月の代わりに隕石が鎮座していた。真っ赤に燃えた隕石が、葉月の全てを押し潰した。
剛田の叫びは、いつまでも聞こえていた。