カラス
ちゃっかりタクシー代を払ってくれた。
「…ありがと」
「ん?ああ」
「あ、っと、部屋いくつか余ってるから自分で決めて?」
私の家は一軒家。
一軒家にしては大きい方で、三階まである。
「んー、じゃ、お前の部屋の隣」
「は?」
「空いてんだろ?ならいいじゃねえか」
「…わかった」
「やった」
私は部屋を教えてから家を案内した。
「ーーそれで、ここが屋上」
「…屋上」
「気づかなかったでしょ?外からは屋上が見えないような造りになってるの」
「へー、面白いな」
「…見える所もあるんだけどね」
「………」
「ね、部屋戻ろ?」
そう言って、私は逃げるように屋上から出た。
彼はまだ出てこない。
きっと、まだ戻ってこない