誰もしらない世界
翌日、よく翌日と日々はすぎていった。
ある日いつものように店へ出勤すると、店の更衣室に中間売上高の紙が貼られていた。
歩は一月前よりも遥かに売上が落ちていた。
ざっと見渡すと、もう少しでれいかに追い付きそうだった先月よりもかなり売上率が低下していた。

歩はそれを見て落胆する。
はぁ…
深くため息をついた。
杉浦の事がずっと頭から離れずにいた。

杉浦さんはどうして急にあんなふうに変わってしまったんだろう…歩には、杉浦の考えていることが全く理解できずにいた。

店の営業が始まると、今日もれいかの席は賑わっていた。
安西という男がれいかを指名しはじめて半月がたとうとしていた。

相変わらずれいかの席ではシャンパンがポンポンと空いていた。これでは益々差がつくばかりだ。
歩は藤田にメールをする。

[辛くて店にいる気がしない。]

そんなふうにメールを打つと藤田が一時間後に店へとやってきた。
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