誰もしらない世界
一方、その晩歩は杉浦の自宅へと久しぶりに向かう。
久しぶりの見慣れた杉浦のマンションのエレベーターを昇りながら歩は夜景を眺める。

いつからだろう…私はいつの間にか下から見上げていた景色を今は上から見下ろしている…
ふと、歩はそんな風に記憶を、重ね合わせ現実がいつの間にか音も立てずに動き始めた事を一人感じていた。

ガチャン…
エレベーターが杉浦の部屋の階に止まる。

カツ…カツ…

ピンポーン…

チャイムを静かに鳴らす。
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