誰もしらない世界
しばらくすると杉浦が玄関のドアを開ける。
杉浦はいつものように歩を部屋の中へと招き入れた。

杉浦(久しぶりだな)

歩(久しぶりです…ねぇ、もうれいかとは何も関係ないんでしょ?)

杉浦(あぁ…)

歩(れいかの事本気で好きなのかと思ってた…)

杉浦(言っただろ。お前は俺の言うことを聞いていれば何も不自由することがないと…)

歩(そうじゃなくて…)

杉浦(そうじゃなくて…なんだ?)

歩(杉浦さんにはそーゆう感情とか、ないの?)

歩は杉浦に問いただす。

杉浦(ずっと見ていたよ、お前だけ)

そう言い、杉浦はたばこに火をつける。
ふーっと煙をはきながらまた話始める。

杉浦(初めはお前もれいかと同じだと思っていたよ。だけど、いつの間にかお前の事を好きになっていた。)

そう杉浦はタバコを吸いながら窓際にたって夜景を見下ろした。

歩(もう、不安にさせないで。)

そう歩は杉浦に強く言う。

杉浦(不安になるなら、あの日の約束を思い出せばいい。)

歩(……そうだね…)

歩は杉浦のその言葉に少し戸惑いを覚えながらも返事をする。
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