誰もしらない世界
私はもう嘘を突き通すと決めたの。
だってあなたも私も同じ穴のむじなよ・・・あなたが嘘をつくのなら私も嘘を隠しとおす。

歩は心の中をそんなふうに言い聞かせる。

その日歩は杉浦の部屋の寝室にいつものように杉浦の肩にしがみついて横になっていた。

歩(ねえ・・・)

そう杉浦の腕に抱きついたまま話しかける。

杉浦(ん?)

歩(いいや。なんでもない。)

そう喉元まで出かけた言葉を言うのをやめた。

杉浦(なんだよ?いえよ。)

杉浦が歩を問い詰める。

歩は一瞬考えながらためらいながら口を開く。
< 167 / 304 >

この作品をシェア

pagetop