誰もしらない世界
歩はその言葉を聞いて胸が張り裂けそうな思いになる。

歩は俯き静かに口を開く。

歩(…なんで?なんでそんな風に言えるの…わかんないよ私…)

杉浦は静かに口を開く。

杉浦(お前がすべて選んだんだろう。好きにすればいい。)

歩は黙り混み、しばらく沈黙を貫く。

歩(…そうだね…。)

歩は涙を必死に堪えながら服を着て杉浦の部屋を後にした。

帰り道、歩は俯き涙を流しながら一人夜道を歩く。
反対側から来る人の流れに時おりぶつかる。

歩(ごめんなさい。)


そう謝りながら道を歩いていると、雨がポツポツと降り始めた。
まるで歩の心模様を映すようなそんな雨の夜だった。
歩は公園のベンチに座りながら一人涙をすすり泣いていた。

その時、ケータイが鳴る。

ブルルル…

着信は藤田からだった。
悲しい時、危険な時どうしてこうも藤田から電話ばかりかかるのだろうか。そんな風に歩は思い、ため息をついた。
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