誰もしらない世界
電話を、切った後米村は歩の所へと戻る。

米村(ごめんね。さっ、話を進めようか。)

何事もなかったかのように米村は歩のブランドの話をすすめていた。

一方その裏舞台では歩の知らない世界での駆け引きが続いていた。
そんなこともしらずに歩は今いる店をやめることを決意していた。

歩<今月でこの店も終わり・・・私の始まりと終わり。>

歩は心の中でそんなふうに呟いた。

その日の営業終了後、歩は店の店長に店をやめることを伝える。

シャンデリアのあるフロントで今日の売り上げを数えている店長に歩は言う。

歩(あの・・私、今月いっぱいでこの店をやめます。)

店長は驚きを隠せずに言う。

店長(え?またまた冗談を!)

歩(いえ、本当にやめたいんです。)

歩は真剣な表情で答えた。
そんな歩の表情をみた店長は歩がなぜやめるのかを問いただす。

店長(なにか、店に不満でもあるのか?不満があるなら、いってくれ。オーナーにも話をするから。)

歩(不満はありません。私は私のお城を作ることにしたんです。今日までお世話になりました。)

店長(そうか・・・じゃあ、オーナーにもそういっておくよ。)

歩(あ、大丈夫です。杉浦さんにはもう話してあります。なので、明日からは平常どおり営業をしてください。)

歩は店長にも嘘をついた。

店長(そうか。杉浦さんは元歩の客だもんな・・・おーけー。寂しいけどがんばってな。)

そんな風に簡単に嘘もまかり通ってしまった。


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