誰もしらない世界
米村(ふーん。いいね!わかったよ。企画に練り込んどくよ。)

そんなふうに米村は軽く流した。

歩はデザインを書いた紙を米村に渡した後オフィスを後にした。

自宅に帰り、ひとしきりデザインを見つめて眺めた時、ふと歩は寂しさを感じた。

…杉浦さんは今ごろどこにいるんだろう…
私がこんなことしている間、彼は何をしてるんだろう…

ふと杉浦の事が心配になって仕方がなかった。
繋がるはずのない電話をかける。
電話の受話器からは、この電話番号は現在使われておりません。
そう聞こえるばかりだった。
< 188 / 304 >

この作品をシェア

pagetop