誰もしらない世界
涙は体が苦しいからではない。
きっとそれは心の中が死んでしまったようなそんな感覚からだった。

数年前の歩といえば、こんなちっぽけなウイルスに負けるような虚弱体質ではなかった。むしろ、どちらかといえば、健康そのものでしかなかった。
なのに、最近の歩といえば、疲れきってしまっている。そんな言葉がぴったりかもしれない。

数年前、歩は最初で最後の恋をした。
あれは忘れもしない記憶だった。
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