誰もしらない世界
男「君が望むならもう一度チャンスをあげてもいい。」

歩は、男の突拍子もないその言葉に思わず喉元まで出かけた声を今一度確認した。

歩「本気でいってるんですか?」

男「嘘だったらわざわざ君に声をかけたりはしない。」

歩「でも。どうやってやり直せば…」

歩は、とまどいを隠せず男に尋ねると男は静かに口を開いた。

男「なぁに。何も心配することはない。あの米村の会社の負債ごと俺が買い取れば事は全てうまくすすむじゃないか。」

歩(何も心配することはない…全てうまくすすむじゃないか。)

その台詞を、きいた歩はいつかの記憶を張り巡らせる。

歩(あの時と同じ…斎藤を殺したあの日の杉浦さんの言葉と同じ…)
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