誰もしらない世界

始まりは突然に

ザワザワ…

ざわめく人混みの中を胸を張って歩く歩がいた。すれ違う男性は時おり歩をみて振り返る。

若い男1(やべーお前今のみた？)

若い男2(見たみた！すげー美人！)

そんな会話は歩の耳に当然入る。
自分と逆方向からあるいてくる沢山の人混みの中を真逆に歩く。
時折聞こえる男の言葉を聞くたびに歩は心の中でふふっと笑う。

皆が私の美しさに夢中になっている。
そう思った。
ショーウィンドーに映る自分の姿が映るたびに笑みをこぼす。
顔の腫れは完全に取れ、どんな角度からみても美しい自分がいた。

人混みの中を胸をはって歩いていく歩は一件の店にたどりつく。