誰もしらない世界
二人が付き合い始めてから三年目の歩と浩介が出会った日、浩介はわざと社内で歩にメールを送る。

ピロロロ…

歩のケータイのメールが鳴る。

〈今日、仕事終わったら初めて飲んだ居酒屋にいこう。〉

そう来ていた。

〈おっけー❤〉

歩は返事をし、すぐ隣にいる浩介に返事を返した。
歩の働く会社は社内恋愛は禁止されていたため、二人は会社ではよくメールでやり取りをしていた。それがまた一層二人は楽しかった。
そして、仕事が終わり、二人は初めて合った居酒屋に向かった。

店に入り、浩介が店の店主に奥の席でと指示をする。

付き合った日と同じ場所の同じ席に座る。

歩(ここ、前と同じだね?)

浩介(そうだよ。あ、今日はなんの日でしょう?)

歩(ん?記念日!)

浩介(そう!正解!では、今日は歩ちゃんに重大な報告があります。)

歩(え?なに?)

浩介は不思議そうな顔をする歩の前に小さな箱をさしだした。

浩介(開けてみてください。)

歩は空けてビックリする。いつもの記念日と比べ物にならないダイヤモンドの指輪が入っていた。

浩介(結婚しよう。予約したから。)

歩は嬉しそうに笑顔で頷く。

歩(はい♪)

この日はちょうど、浩介がグループ会社に移動し、新事業を任される事になっていた。社内恋愛が禁止されていたが、来年を目処に部署を別会社に移動することになっていたので、浩介は思いきって歩にプロポーズをしたのだ。
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