誰もしらない世界
歩があの計画犯罪をおかしてから、1ヶ月の日々が過ぎようとしていた。
歩は相変わらずに杉浦に面倒を見てもらっていた。
望むものはなんでも手に入り、なんでもかってもらえていた。
そしてなによりも歩の店での成績は昇り調子だった。杉浦のおかげでもうすぐ店のナンバーワンになろうとしていた。
問題と言えば、日に日に増すれいかの嫌がらせが歩のストレスだったが、それがまたヒートアップするたびに自分の力にれいかが及ばなくなっていく証拠でもあり、歩はそれを見るたびに自分の魂がわなわなと震えたつ気持ちになるのであった。
歩は初めてれいかに出会った日の事を思い出す。あのれいかの隣にいた時に感じた自分の滑稽な感覚を今度はれいかが感じているはずだ。私にあんな惨めな思いをさせたのだから、落ちればいいのよ、れいかなんて。私はもっともっと高みに昇るのよ…そう心で歩は思うのであった。
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