誰もしらない世界

藤田はれいかの意味深な言葉を嘘だろうとおもいながら聞き流し、もう一度店内を軽く目で追い歩を探す。
杉浦と歩が静かに酒を飲んでいた。藤田はそれを遠目からしばらく見つめていた。

歩(最近…オカメちゃんが家に帰ってもいないし会わないのよねぇ。連絡は返ってくるけど…)

杉浦(実家にでも帰ったんだろう。あそこに居ても意味はないからな。)

歩(あー、そっかぁ！実家かも！お母さん具合悪いとか言ってたしね！)

そんな会話を歩と杉浦は交わす。

杉浦(歩今日はどうする？)

歩(今日も行きたい。)

そう言い、歩は杉浦にべったりひっついていた。

それを遠くからみた藤田はれいかに話しかける。

藤田(あれ、歩さんの彼氏ですか？)

れいか(知らない、そうじゃないの！)
そんなふうに、れいかはフンとした態度になる。

藤田(あれ、僕何かいけないこといいました？す、すみません。)

れいか(いいわよ別に！ちょっとトイレ行ってきます。)

そうれいかが席を立つ。れいかの客が藤田にしーっと指でサインし、小声で囁く。

れいかの客(昔あの男はれいかの男だったんだよ。あんまりその話題にふれちゃったら機嫌悪くするんだよ…)

藤田(そうだったのか、すまんな…)