社長に求愛されました
「昨日、社長ここまで送ってくれたんでしょう? その時その話にはならなかったの?」
「……はい。私、6時くらいまで寝てたんですけど、起きたら社長がいて……何か食べられそうかって聞かれたので、頷いたらコンビニで色々買ってきてくれて。
それをここで食べて、社長は10時くらいに帰りました」
「え、そんな時間までいたの?」
「なんかでも、様子が変だったんです。ずっと何か言いたそうで考えてるみたいな感じで……」
もしかしたら、私の告白を聞いてたって事を言いたかったのかな……と抜け殻のようになったちえりが言うと、綾子が「そうかもね」と頷く。
「ずっと片思いしてた相手が好きだって言ってくれたんだから」
「でも私は社長に言ったんじゃなくて、綾子さんに言っただけじゃないですか!
……その前に、なんで社長に全部話したんですか? 綾子さんは、私が社長の気持ちに応える覚悟がないって知ってるハズなのに」
唯一綾子には、胸のうちを全部晒していた。
そして頭のいい綾子はそのすべてを理解していたハズ。それなのになぜ。
じっと見つめてくるちえりに、綾子は紅茶に視線を落としながら答える。