社長に求愛されました
「あ……っ、や、だ……っ」
「何が?」
「何って……っ、その、私初めてですし……」
「知ってる。むしろ俺より前におまえに触った男がいた方が問題だ。
なるべく痛くないようにするから、あんまり心配するな」
痛くないように、痛くないように、痛くないように。
まるで呪文でも繰り返すように、暴走しそうになる本能を止め、ちえりを怖がらせないよう優しく肌に触れる。
何もまとっていない身体を丁寧すぎるほどじっくりと這う篤紀の指や舌に、ちえりの身体がますます熱を増し。
「しゃ、社長……っ、やっぱり今日は……」
篤紀から刻み込まれる感覚にどうしていいか分からずに、耐え切れなくなりついには根を上げるも。
「ダメ。もう覚悟決めろ」
それを聞き入れてもらう事はできずに、あっさりと却下されてしまう。
意地悪に、そして色気たっぷりに笑みを浮かべる篤紀には余裕さえも感じてしまい、ちえりは自分を追い詰めておいて何を楽しそうにしてるんだと恨めし気に睨みつける。
そんなちえりの頬を撫でるように触れながら、篤紀が微笑む。
柔らかく優しく、そしてどこか男を感じさせる表情がちえりの胸を跳ねさせた。
「ちゃんといい子に“待て”してたんだから、もうおあずけはなしだろ?」
ちゅっと軽いキスをして笑う篤紀に、観念したのかちえりも困り顔で笑い。
篤紀の首に腕を回し、その身を篤紀に任せた。