社長に求愛されました
そこまで言ったちえりが、周りで耳を立てている綾子たちの存在を思い出しハっとして口をつぐんだのだが。
面白くなさそうに顔をしかめた篤紀は、ちえりが隠そうとした事を平気で言いのけた。
「それに休もうって言ったのはおまえの身体を気遣ってでもあるんだからな。
初めてだったのに一回でやめてやれなくて無理させたし……それに、おまえの言うとおり朝も我慢できなくて手出したりして悪……」
「ちょ……っ、やめてくださいっ! なんでこんな場所で色々バラすんですかっ」
信じられないと言った表情で言うちえりに、篤紀は何が問題だといった顔を返す。
「どうせ井上なんかは気づいてるし今更隠したって仕方ねーだろ。
それに……公言しとかないと、おまえはすぐ他の男のもんになりそうで怖いからな。
ここにいるヤツらには全員監視員になってもらわねーと」
半分嫌味で言われた言葉に、ちえりは何か言い返そうとしてからぐっと押し黙った。
篤紀の言う、“他の男”が誰を指すのか。
それは、今朝の事にさかのぼる。