社長に求愛されました


『あの、社長……』
『ん?』
『今日は会社ですし、私、一度着替えに帰らないとなので時間が……』

時計に視線を移した篤紀が、それを戻しちえりを見てにっと微笑む。

『余裕だろ。まだ六時前だし』
『じゃあ、その……身体がツラいんですが』
『分かってる。だからおまえの身体に負担がかかるような事はしねーよ』

じゃあ一体この体勢になった意味はなんだろう。
そんな風に考えていると、篤紀がぐっと近づいてきて。

『おまえに触ってたいだけ』と告げた後、唇を重ねた。

触るという意味を、ただ頬を撫でるだとかそういう事だと受け取っていたちえりは、絡まされた舌にそれで終わる事じゃないのかもしれないと感づきハっとしたのだが。
身体を這い始めた指先に抵抗を示すも、非難の言葉はすべてキスで奪われてしまう。

昨晩さんざん慣らされた身体は、知っている指や舌に素直に反応しすぐに甘く火照りだす。

『朝から、こんな……っ』

与えられる感覚に耐えながら訴えるちえりに篤紀は困り顔で笑って。


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