社長に求愛されました


『ごめんな……。やっぱりちょっと抑えられそうにない』
『え、あっ、ちょっと……っ』
『後でおまえの言う事なんでも聞くから……ごめん』
『あ、や……っ、社長――』

そのまま溶け込んできた体温。それに驚きながらも、次の瞬間には嬉しさでいっぱいになっていて。
篤紀の呼吸や仕草、触れる指先、すべてが愛しくなりちえりの目に涙がたまり流れる。

そんなちえりに気付いた篤紀が、涙を指で拭い、キスしながら小さく身体を震わせたちえりを抱き締める。

満たされた感覚に深い息を吐くと、ちえりの腕が自分の背中にそっと巻きついてくる。
ちえりの仕草に堪らなく嬉しくなり、ちえりが抱きつく力よりも強く篤紀がそうして余韻に浸っていた時だった。

ちえりの電話が鳴ったのは。

ベッドサイドのテーブルにあった鞄を取った篤紀がそれをちえりに渡し、ちえりが中から電話を取り出す。
へろへろになった身体をなんとか上半身だけ起こし、電話に出ると、それは洋子の息子、歩からで。

内容はと言うと……。

「えっ、プロポーズ……?!」





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