社長に求愛されました
片手で抱き締め返し、もう片方の手でちえりの顎を上げ唇を奪う。
いつもしているような、ちえりを気遣ってのキスとは違う、ただ欲望のままする強引なキスだというのに。
ちえりは少し驚き肩を揺らしたものの、そのまま篤紀を受け入れ応えていた。
お互いの舌が触れあい体温が重なり……そのまま溶け合う。
触れ合えば触れ合うほどに溢れ出る気持ちが胸の中で窮屈そうに暴れ、苦しいほどだった。
「……ん、ぅ……っ」
「ちえり……」
「篤、紀さ……っ」
息もつけないような強引で、でも篤紀の気持ちの大きさが伝わってくるような情熱的なキスにちえりが声をもらすと、それに気付いた篤紀がそっと離れる。
そして、ちえりの手の中から部屋の鍵を奪うと、ちえりの手を引き部屋の前までを早足で歩く。
部屋に入りドアを閉め……そこからはもう、お互い以外何も見えなかった。