社長に求愛されました
「歳が離れてるせいですかね。やたらと構ってくるし心配性ですよね。
元からそういう性格なのか知りませんけど」
「恋愛関係はちょっと分からないけど、高瀬が入ってくるまではあんなじゃなかったのよ。
仕事サボり気味なところはあのままだけど、もう少しピリピリしてたし。
だから高瀬のおかげでオフィスの雰囲気はかなり改善されたのよ」
「え、でも社長結構イライラしてる時多いですよね?」
「うん。それでも前と比べたらだいぶマシだし、それにイライラしてても高瀬がちょっとお茶とか持って行けばそれでご機嫌じゃない」
「それ、綾子さんが私に命令するからじゃないですか。社長が機嫌悪い時に限ってお茶入れて持っていけって」
「ふふ。でも、高瀬可愛いものね。社長が入れ込んで心配しちゃう気持ちも分かるけど」
ちえりは、誤魔化さないでください、とため息まじりに言っていたが、綾子は冗談のつもりはなかった。
社内では、というか、会社がある30キロ圏内くらいで見ても男性部門では篤紀がぶっちぎりのトップなわけだが。
そんな篤紀とちえりが並んで街ゆく人に尋ねれば、100人中95人はお似合いだと答えるくらいにちえりも整った外見をしているのだ。
美形といえば美形なのだが、150センチ中盤の身長と童顔も相まって、可愛いという言葉の方が合っているかもしれない。